需要のあるエンジニアですが、一言でエンジニアといっても、様々な種類のエンジニアがあり、そしてその職業領域や責任領域も異なっています。この違いによって、当然仕事内容も異なるため、年収や待遇も変わってきます。

今回は、平均収入についてまとめてみました。自分の収入が高いのか低いのか、あるいは、どんなスキルを持ちどの分野へ転職をしたら収入が増えるのか確認してみてください。
エンジニアの平均年収の実態 職種別
対象は、プログラマー・システムエンジニア・ネットワークエンジニア・インフラエンジニア・セキュリティエンジニアの5つです。
プログラマー
プログラマーとは、基本的にプログラム言語を書いて何かを作るのが仕事となります。車のエンジンのネジやボルトをはめる人と考えていただいて構いません。
日常生活にも活用される家電製品などにもコンピューターが入り込んできている昨今、プログラマーの活躍する領域は非常に広いといえるでしょう。
プログラマーの平均年収は414.6万円

また、男女にも少し差があることが知られていて、男性が425万円、女性が372万円となっています。これは、現在40代以降の比較的年収がピークになると考えられる年代において、女性のプログラマーが非常に少ないことが原因です。
システムエンジニア
システムエンジニアは、依頼者の「こんなものを作ってほしい」「こういうサービスはどうだろうか」といった要望に対して、何が必要で何を生み出すべきかといった、基本的な設計を担当することが仕事内容となります。
また、完成までのスケジュールを引いたり、必要となる予算交渉をしたりといった仕事も並列して発生することもあります。
システムエンジニアの平均年収は547.1万円

他の職種と比べても、高収入の職業といっても良いのではないだろうか。
ただ、システムエンジニアは、勤務先の大きさによって、年収が大きく変動することが知られています。100人未満の会社と1000人を超える会社では、求められるスキルや領域も変わってくるので、ある程度は仕方ない結果といえるかもしれません。
ネットワークエンジニア
ITで情報をやり取りする上で絶対に欠かせないのがネットワークである以上、スムーズなIT利用にはネットワークエンジニアは欠かせません。しかし、知識と経験を多く求められるネットワークエンジニアは、基本的に供給が少なく、給与水準が高い傾向にあります。
ネットワークエンジニアの仕事内容は、ネットワークの設計・構築・保守・管理と、ネットワークに関することは全て行うといってもいいでしょう。
ネットワークエンジニアの平均年収は479万円

またネットワークエンジニアは、非常に数が少ないため、1つのところで働いている人が少なく、正社員よりも派遣社員として働いている人のほうが、収入が高い傾向にあるという面白い特徴もあります。
インフラエンジニア
インフラエンジニアとは、文字通り、ITが正常に稼働するためのインフラを整備する仕事となりますが、ITが様々な分野に伸長していた結果として、インフラエンジニアに求められるスキルや経験が膨らみ続けているのです。
インフラエンジニアは、非常に需要の高まっている仕事です。これは、ITのシステムが大きくなりすぎており、大きな視点での管理や運用を行うことができる人材が求められているためといえるでしょう。
インフラエンジニアの平均年収は、一般的には公開されていませんが、 リクナビNEXT
が行ったアンケート調査によると以下の結果になりました。
- ソフト・ネットワーク系エンジニアが607万円
- 電気・電子・機械のハード系エンジニアが588万円

自主的に勉強をし続けていれば、必ず給料が上がるため、努力しがいのある職といえるかもしれないですね。
セキュリティエンジニア
ITで様々なものを管理すればするほど、セキュリティというものは非常に注目されていくでしょう。このセキュリティにおいての専門的な役割を果たすエンジニアが、セキュリティエンジニアです。
そもそも設計段階からセキュリティに配慮した設計を行っていく、あるいは、サイバー攻撃に対して強いシステムをくみ上げるなど様々な考え方が求められます。
また、仕事内容も多岐にわたる上に、顧客が求めている製品によって、求められるスキルの変わる厄介な仕事といえるでしょう。
セキュリティエンジニアの平均年収は公開されていないが、30代前後で600万前後になるのではないかといわれている

平均年収の高い職種と低い職種とは?
平均年収の高い職種
注目したい平均年収の高い職種は、インフラエンジニアです。
インフラエンジニア
- 平均年収は600万円を超え、高い需要と広い職域で、まだまだ年収は上がりそう
- 経験やスキルによっては、20代後半で1,000万円を狙うことも夢ではない
続いて気になるのがコンサルタント。
コンサルタントは、プログラムを書く、構築するといった現場から少し離れ、経営戦略からIT戦略を立案する、企画やマネジメントを行うなど、また違ったスキルが求められる職業となります。
ある程度エンジニアとして現場の経験を積んだのちにITコンサルタントとして転職することが多く、必然、年収も上がりやすい職となっています。
コンサルタント
- 平均年収は629万円
- 転職したけれども肌が合わないとして、再び技術職に戻る人も少なくない
平均年収の低い職種
一方で、平均年収の低い職種はどうでしょうか。
最もよく知られているのはプログラマーです。現場で手となり足となる職種であり、これなしではITは動かないともいわれますが、同時に、ほかの人を動かすこともなく、企画そのものやサービスそのものに大きな影響を与える職種ではありません。
プログラマー
- 結果として、ある程度「替えの利く」職種となってしまう傾向にある
- スキルや経験によっては「替えの利かない」人も当然なかには出てきますが、これはかなり稀なケース
明確なキャリアプランを持って仕事に従事することをお勧めします。
エンジニアの平均年収の実態 年齢
エンジニアは、年功序列といった仕組みはあまりありませんが、一方でスキルや経験がものを言ってくる仕事でもあるため、やはり年齢が上がるにつれて給料も増えていきやすいです。
20代エンジニアの平均年収
- 20代のエンジニアの平均収入としては、初級レベルで300万円~400万円
- 20代後半ぐらいになってくると、450万円~500万円といった範囲
ただし、20代のうちからスキルや能力を高めた結果、ある程度のポストに収まることで、1,000万円を達成する人も少なくありません。
30代エンジニアの平均年収
30代のエンジニアは、まさに20代の頃の蓄積がものを言ってくる年収となります。
- 30代前半で400万円~550万円
- 30代後半で400万円~650万円と格差が出てくる
年齢が上がるにつれて、求められるスキルや経験が上がっていってしまうのはどこの業界でも一緒ですが、とりわけエンジニアの世界では、自分で学習している人が多く、また転職市場も活発なため時間の投下量が年収に繋がりやすい職種といえるでしょう。
40代エンジニアの平均年収
40代は脂ののった時期といえます。
平均年収は700万円を超え、ポストによっては、1,500万円~2,000万円といった高収入となることも少なくない
また、最近では、40代のマネジメントスキルと経験が豊富なビジネスマンが少ないことに頭を抱えている会社も多く、思いもよらない好待遇の転職情報が出てくるのもこの年代です。
50代エンジニアの平均年収
今までの年収上昇カーブから考えると少し昇給ペースが落ち、750万円程度が平均年収と考えられる
これは、ITの分野における知識やスキルは変遷が激しく、昔の技術が今は全く通用しないといったことがありえるためでしょう。
この年代になると、基本的にはマネジメントが求められると思いますが、それでも新しい知識や情報に触れていく必要があります。年齢が上がれば安泰ということもないのがエンジニアの厳しい現実といえるかもしれません。
エンジニアで年収が低いと思ったら考えたいこと
転職
あなたが20代後半~30代後半といった年齢に差し掛かり、ある程度のスキルや経験が備わっているにもかかわらず、平均値よりも少ない収入に甘んじているとしたら、それは、会社の条件が良くない可能性があります。

実際に転職しようとなると、二の足を踏んでしまうこともあるかと思いますので、まずは情報収集をしてみてください。場合によっては、1.5倍以上もの昇給を獲得した例も少なくありません。
スキル
もう1つ気になることは、自分の持っているスキルセットが企業や業界の需要に適合しているかどうかを考えてみることもおすすめです。
いくら専門性の高いスキルを持っていたとしても、そのスキルの需要が低ければ、当然市場における評価も低くなる
最近ではAIやクラウドといった仕組みが非常に伸びています。これらの業種に影響を与えるスキルを少しずつ積み重ねていくことも、年収アップの秘訣といえるかもしれません。
注目すべきプログラミング言語

ただ、新しい言語を勉強する際に気をつけておくべきは、どんなキャリアを考えてその言語を学ぶかを頭の中に入れておかないとダメだぞ。


需要が高まることが予想されるもの
今後の需要を踏まえた注目すべきプログラミング言語としてよく上がるのはPythonとGo
Pythonは今話題のAI、とりわけ情報分析といった仕組みを持ったサービスやアプリケーションを導入する際に、非常に需要のある言語といえます。

GoはGoogleが開発したプログラミング言語であり、現在最も実行が早くて覚えやすいプログラミング言語といわれています。
また、GoogleはGoの利用者を増やすために、ライブラリと呼ばれるプログラミング言語の束を無料で公開しています。このライブラリを使用すれば、勉強を始めてから半年程度で、ビジネス上の開発の現場に降りられるとすら言われているほどです。
会社で忙しく働いている傍ら勉強する言語としては最適です。
今後需要が高まると考えられるエンジニア職種
現在でも需要があるエンジニア職ですが、今後のビジネスの需要として3つの職種について注目してみましょう。
コンピュータビジョンエンジニア
コンピュータビジョンエンジニアとは、3D関連の技術について詳しいエンジニア
現在スマートフォンなどで実装されだした顔認識システムや、VR・AR技術、更に最近では3Dの情報を分析していくようなAIの開発も進みつつあります。
今後、3D技術がさらに進歩すれば、間違いなく需要が飛躍的に高まる職種といえるでしょう。
機械学習エンジニア
機械学習エンジニアは、日本ではあまり注目されていないが、海外では非常に注目されている職種
AI技術などで大活躍している機械学習のエキスパートとして、需要が高まっているのです。
加えて、機械学習のエキスパートということは、同時にデータサイエンティストとしての側面も持っているため、高い情報分析力を持っています。
クラウドエンジニア
クラウド(インターネット上に仮想のサーバーを設置)かオンプレミス(自社にサーバーを設置)かといった議論はありますが、クラウドもオンプレミスも必須の技術といえます。
しかし、AIによる情報分析が進んでいく中で、より広範囲の情報を手に入れることができるクラウドサービスは、今後もさらに伸長していくでしょう。
その情報は、そのサービスの質の向上だけでなく、会社全体のサービスに大きな影響をもたらしかねません。つまり、クラウドエンジニアの質が、そのままその会社の経営戦略の質となりかねない時代が近づいているのです。
まとめ
今回のまとめ
- エンジニアでも仕事の内容によって大きく年収が変わってくる
- 年齢が上がるにつれて年収は高くなるものの、新しい技術を覚えていかなければならない
- 先行きを見通して、プログラミング言語・スキルを身につけていく必要がある
エンジニアの年収についてみてきました。大事なことは、時代の先行きを見ながら、自分がどのようなキャリアを形作っていきたいかということです。
転職や新しい技術を身に着けた先に、自分がやりたいこと、自分の人生がより輝くことがなければ、どれだけ年収を高くしたところで、納得できない人生となってしまう可能性があります。
自分の理想を叶えるために仕事を選んでいくといった、アクティブな考え方が、今後の社会人として生きていく上で必要となっていくはずです。