この記事で解決できる悩み
- 早期退職に興味があるけど、メリットやデメリットは何?
- 「早期退職制度」と「選択定年制度」の違いは?
この記事は、早期退職をしようかどうか迷っている方向けに、主に次のような内容を解説します。
- 早期退職するメリットとデメリット
- 早期退職を決める前に注意すべきこと
早期退職をした人のなかには、メリットやデメリットを充分に理解しないまま行動して、後悔する人もいます。
なので、この記事を参考にして、早期退職を検討してみてください。
では、順にみていきましょう。
【はじめに】早期退職が急増している原因
2019年に早期退職や希望退職を実施する上場企業が、直近の6年間で最多となりました。
その背景の一つに「2020年問題」があります。
2020年問題とは
バブル世代社員や団塊ジュニア世代社員の高齢化にともなう「人件費負担の増加」や「ポスト不足」といった諸問題のこと
企業は、この問題を解消するために、早期退職や希望退職を募っています。
ただ、早期退職・希望退職のメリットは、企業側にだけあるかというと、そうではありません。
では、次からは社員側のメリットについて、詳しくみていきましょう。
社員が知っておくべき早期退職のメリット4つ
社員にとっての早期退職のメリットは、次の4つです。
早期退職のメリット4つ
- 退職金の割り増し
- 新しいキャリアに挑戦できる
- 健康なうちに自由な時間が持てる
- 会社都合退職で失業給付金を多く受け取れる
それでは、順に解説します。
メリット1:割り増しされた退職金を確実に受け取れる
ひとつ目のメリットは、早期退職時の退職金が割り増しされることです。
とくに、企業が早期退職や希望退職を募っているタイミングであれば、さらに高額の退職金が支払われるケースもあります。
一方、仮に60歳や65歳といった会社が定める定年退職の年齢まで勤めても、通常額の退職金しかもらえません。
もしかすると、会社の倒産や買収により、無事に定年を迎えられず、退職金を満足に受け取れないといった不安もあります。
ですから、今のタイミングで早期退職すれば、確実に割り増しされた退職金を受け取れることがメリットといえます。
メリット2:新しいキャリアに挑戦できる
2つ目のメリットは、新しいキャリアに挑戦できることです。
現在、あなたが40代や50代なら、定年まであと10年~20年ほどあります。
これだけの年数が残されていれば、充分に新しい仕事にチャレンジできます。
もしかすると、これまでに培った技術や経験を活かして、待遇のよい仕事に就けるかもしれません。
あるいは、今の仕事内容に不満や退屈さを感じるなら、たとえ転職先で今より給与が下がっても、興味のある仕事に就くといった選択も可能です。
また、転職エージェントやスカウトサービスを利用すれば、今の職場で働きながら別の仕事を探せます。
あなたの市場価値を確認するためにも、まずは試しに登録してはいかがでしょうか。
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メリット3:健康なうちに自由な時間が持てる
早期退職すれば、若くて健康なうちに自由な時間を持てるのも魅力です。
65歳で定年退職した場合にくらべ、体力が残っています。ですから、第二の人生として新しい目標へチャレンジしやすいでしょう。
充分な体力と時間があれば、取れる選択肢も多くなります。


現在の貯蓄や早期退職金と今後かかってくる生活費を計算して、どの程度まで所得が落ちても問題がないのか整理しましょう。
早期退職して完全にリタイアしなくても、仕事をセーブすることで、それまでよりも趣味や家族との時間に充てることができるはずです。
メリット4:会社都合退職で失業給付金を多く受け取れる
失業給付金の受給期間が長くなることも、早期退職のメリットのひとつです。
まず、退職の取り扱いには、「会社都合退職」と「自己都合退職」があります。
会社都合退職の場合、自己都合退職に比べて、失業給付金の給付期間は最大330日で長いです。
結果、支給額も多くなり、最大支給額は約260万円になります。
また、支給開始日が早かったり、給付制限がない、といったこともメリットです。
会社都合退職 | 自己都合退職 | |
失業給付金 支給日数 | 7日後 | 3ヶ月7日後 |
失業給付金 最短支給開始日 | 90日~330日 | 90日~150日 |
失業給付金 最大給付額 | 約260万円 | 約118万円 |
失業給付金 給付制限 | なし | あり |
国民健康保険税 | 最長2年間軽減 | 通常納付 |
「失業給付金」と「失業保険」や「失業手当」の違いについて
なお、「失業給付金」以外に、「失業保険」や「失業手当」などの言葉があります。
じつは、これら3つの意味はすべて同じで、雇用保険制度において失業後に給付される基本手当のことです。
ただし、失業保険や失業手当といった言葉は公的には使われていません。
早期退職のデメリット4つ
一方、早期退職のデメリットとして、次の4つがあります。
早期退職のデメリット4つ
- 定期収入がなくなる
- 年金の支給額が減る
- 翌年の住民税が高くなる
- 働いている方が充実
それぞれ詳しくみていきましょう。
デメリット1:定期収入がなくなる
まず、早期退職で何よりも大きなデメリットは、定期収入がなくなることです。
いまの会社を辞めるわけですから、当然ですよね。
すでにメリットでも解説したとおり、大切なのは、早期退職後の見通しが立っているかどうかです。
たとえば、次のような内容です。
考えておきたい早期退職後の見通し
- 退職金と貯蓄で、早期退職後の生活はできるのか
- 転職やフリーランスといった新たな働き方を検討しているのか
- その場合、いくらの収入があればよいのか
- 失業給付金はいつまでもらえるのか
生活が困窮するようなことがないように、しっかり計画を立ててから、早期退職を検討しましょう。
デメリット2:年金の支給額が減る
2つ目のデメリットは、年金の支給額が減ることです。
早期退職すると、本来60歳まで払い続けるはずの厚生年金の加入から外れます。
このため、退職後は国民年金のみとなり、将来に受け取る年金額が減ります。
たとえ割り増しの退職金を受け取ったとしても、生涯収入が減るケースがほとんどです。
デメリット3:翌年の住民税が高くなる
翌年に支払う住民税は前年に比べて高くなることもデメリットです。
なぜなら、住民税の課税額は前年の給与ベースを基に決まるためです。
ですから、受け取った退職金も収入扱いとなり、住民税が高くなります。
今後の生活の資金として、退職金をそのまま試算しないよう注意しましょう。
デメリット4:働いている方が充実
人によっては早期退職後、数か月~数年で退屈に感じるようになるかもしれません。
とくに、次のような方は注意した方がいいでしょう。
早期退職後の暮らし方に注意が必要な人
- これまで仕事ばかりしてきた人
- 趣味がない人
せっかく自由な時間を手に入れても、充実した時間を過ごせるかどうかは別です。


早期退職の手続きをする前に、その後、どういった過ごし方をするか明確にしておきましょう。
これら4つのデメリットは、早期退職後に再就職すれば、リスクは小さくなりますよ。
一方、早期退職後に働かない方は、充分に注意して将来の計画を立てましょう。
【早期退職のメリット】まとめ
最後にもう一度、まとめます。
早期退職のメリットまとめ
- 「退職金の割り増し」や「失業給付金の受給」を多くもらえる
- 健康なうちに、新たなキャリアの挑戦したり趣味の時間を多く持てる
- 老後の長期的な計画を充分に立ててから、早期退職するか判断すること
せっかく早期退職を決断しても、その後の生活に後悔してたら辛いですよね。
ですから、この記事で紹介したメリットとデメリットを参考に、早期退職するか充分に検討してみてください。