この記事で解決できる悩み
- 早期退職で失敗することはあるの?
- 早期退職を後悔しないためにはどうしたらいい?
- 早期退職後の生活を充実させたい
有利な条件で退職者を募る早期退職と呼ばれる「早期優遇退職制度」に落とし穴はないのか、決断に迷うことがありますよね。
この記事では、早期退職を希望する人に向けて、失敗を避けるためにはどうしたらいいか、失敗しないコツを解説します。
失敗する人の特徴を知って『早期退職で失敗しないためのコツ5つ』を理解すれば、早期退職後の生活を充実したものにできるはずです。
それではまず、『【はじめに】早期退職とは』から見ていきましょう。
【はじめに】早期退職とは
「早期優遇退職制度」のことを一般的に早期退職と呼びます。
人員削減の一環として行われますが、退職金の割増支給など、退職の際に有利になる条件を提示することによって、労働者が自らの意思で退職に応じる制度です。
早期優遇退職と一言でいっても、その意味は大きく2つにわけられます。
早期優遇退職の2つの意味
- 早期退職・・・常時慣例的に行われる
- 希望退職・・・業績悪化により臨時的に行われる
ひとつ目は、一般的に「早期退職」と呼ばれる常時慣例的に行われている制度で、もう一方は、業績悪化により臨時的に行われる「希望退職」と呼ばれる制度です。
早期退職には経営再建を理由に期間と人数を限定して退職者を募る場合と、労働者の意思で定年を選択できる「選択定年制」があります。

希望退職には募集定員があることが多く、定員に満たないときは、肩叩きといわれる「退職勧奨」やリストラの意味合いが強い「整理解雇」となる場合があります。
このほかに、就職もしくは転職してから3年以内で会社を辞めてしまう「早期離職」を「早期退職」と呼ぶこともあるようです。
早期退職の実情
東京商工リサーチによると、早期退職者と希望退職者の募集や応募は、ITバブル崩壊の2002年が最も多く、2009年のリーマン・ショックの後もしばらく業績不振の業界を中心に続いていましたが、ここ数年は1万人を超えることはありませんでした。
しかし最近では、業績が好調でもバブル期や団塊ジュニアなどの中高年層を減らす目的で早期退職者を募ることも多く、2019年の上場企業の早期・希望退職者の募集や応募が、6年ぶりに1万人を突破したと報告されています。
業績不振が著しい電気機器の企業が早期優遇退職制度を設けることが多く、2019年では富士通の2,850人が最多で、2020年も下記の表にある上場企業で、制度の名称は異なりますが、早期・希望退職制度が実施されています。
出典:マイナビニュース「2019年上場企業「希望・早期退職」実施状況、最多人数は富士通」
近年は40代での早期退職も増加の傾向があります。
起業や独立などの新しいキャリアへの挑戦を目的にしている場合も多く、若年で早期退職を選択する人は今後も増えていくでしょう。
早期退職のメリット4つ
次に、早期退職にはどんなメリットがあるのか見ていきましょう。
早期退職のメリット4つ
- 退職金の割り増し
- 新しいキャリアに挑戦できる
- 健康なうちに自由な時間が持てる
- 会社都合退職で失業給付金を多く受け取れる
退職金の割増は、早期退職の優遇措置として、真っ先に思い浮かぶのではないでしょうか。
企業によっては転職支援を提供している場合もあり、新たなキャリアアップを目指すこともできます。また、会社都合の退職になると、失業給付金が約1ヶ月で支給されるメリットもあります。
早期退職後の目的やプランがはっきりしていれば、早期退職の選択は有益であるといえるでしょう。
早期退職のデメリット4つ
早期退職のデメリットは、金銭的な問題が主となっています。
早期退職のデメリット4つ
- 定期収入がなくなる
- 年金の支給額が減る
- 翌年の住民税が高くなる
- 働いている方が充実
会社を退職するのですから、当然定期的な収入はなくなります。
そして退職時期によって異なりますが、早期退職で厚生年金の支払いがなくなれば、年金の支給額は減ります。
退職後の生活がうまくいかなければ、早期退職を決断したことを後悔することになるため、金銭面や転職の見通しは立てておいた方がいいでしょう。
早期退職で失敗する人の特徴4つ
なかなか転職が決まらず生活資金に困ったり、転職後の環境や条件に順応できなければ、早期退職を決断したことを後悔することになります。
早期退職で失敗する人に共通する特徴を知って、後悔のない退職にしましょう。
早期退職で失敗する人の4つの特徴
- 早期退職後の目的がない
- 周りの環境に柔軟に対応できない
- 後先を考えずに早期退職する
- 自分を客観的に評価できない
特徴1:早期退職後の目的がない
早期退職で後悔しやすいのは、退職後の目的もなく早期退職をしてしまう人です。
退職後にやりたいことがあってこそ、踏み出す勇気や方向性が生まれます。
割増される退職金に惹かれてなんとなく早期退職してしまうと、退職後にやるべきことがわからず、仕事や生活に対するモチベーションも下がります。
自由な時間が手に入っても、退職後の明確な方向性が定まっていなければ、その時間を充実したものにできないので注意しましょう。
特徴2:周りの環境に柔軟に対応できない
2つ目は中高年に多く見られる特徴ですが、変化に抵抗感を持ち、新しい環境に柔軟に対応できないことです。
過去に固執して転職先のやり方になじまず、それでも自分を押し通そうとしても、受け入れてもらうことはできません。
新たな環境や変化に対応できる準備ができていなければ、早期退職はリスクが高いといえるでしょう。
特徴3:後先を考えずに早期退職する
3つ目の特徴は、後先を考えずに早期退職することです。
なぜなら、早期退職は割増の退職金などと引き換えに、今まであたりまえに過ごしてきた生活を失う可能性があるからです。
早期退職後の収入は減る可能性のほうが高く、転職できる保証もないため、退職金と貯蓄でどれだけ安心して暮らせるのかといったことを考えておかなければなりません。

特徴4:自分を客観的に評価できない
最後の特徴は、プライドが邪魔をして自分を客観的に評価できないことです。
大手企業の管理職クラスで得られる年収を自分の仕事への対価と勘違いし、本来の自分の価値を知ろうとしない人に多い特徴です。
上司や会社が自分のことを正しく評価してくれない、と不満がある場合に転職を考えた上で、早期退職を考える人もいるでしょう。
しかし、上司や会社に対して不満に感じていることが、本当に不満に感じるべきことなのか、自分に原因はないのか、早期退職を決める前に客観的に見つめなおす必要があります。
冷静に自分自身を見ることができなければ、早期退職を判断するにはまだ早いかもしれません。
早期退職で失敗しないためのコツ5つ
早期退職で成功するポイントは、退職後の充実な生活が送れるかどうかにかかっています。
ここでは、早期退職で失敗しないためのコツを紹介していきます。
早期退職で失敗しないための5つのコツ
- 早期退職後の目的を明確にする
- 充分に情報収集をする
- 早期退職後の収入源を確保する
- 早期退職を決める前に家族や知人に相談しておく
- 転職エージェントを活用する
コツ1:早期退職後の目的を明確にする
最初のコツは、早期退職後の目的を明確にすることです。
すでにこの記事で口を酸っぱくして言っていますが、これこそが失敗しない早期退職に必須であると断言できます。
早期退職後を考えるとき、退職後に転職するなど収入を得ることを視野に入れる場合と、退職後は働かずに貯蓄のみで生活する場合にわかれるでしょう。
早期退職後の2つの選択
- 転職するなど収入を得る
- 働かず貯蓄のみで生活する
退職後に転職などで収入を得ようと考える場合は、すぐに転職できない場合の計画を立てておきましょう。
今はさまざまな働き方があるため、クラウドソーシングを活用するなど、時間を有効利用しながら収入を得ることもできます。
貯蓄のみの生活を考える場合は長期的な計画を十分な準備しておかないと想像している生活ができません。
生活費の見通しが立っていなかったり、趣味ややりたいことがなければ、充実した生活は送れないので気をつけましょう。
コツ2:充分に情報収集をする
2つ目のコツは、早期退職に失敗しないための情報収集を充分にすることです。
長期的に早期退職後の自分をイメージすることはもちろん、成功や失敗の体験談を知ることも重要です。
業界分析をしっかりしなかったために早期退職を後悔することになった体験談をひとつ紹介しておきましょう。
早期退職を後悔することになった体験談
- 水原修治さん(仮名・55歳)食品加工会社
47歳のとき、25年間勤めた会社を早期退職しました。自己都合退職より600万円上乗せの2000万円の退職金を選んだわけですが、今では後悔しかありません
露骨な経費削減に危機感を覚え、社員が次々と辞めていくことに不安を感じ早期退職に踏み切ったようです。
もともと前職の主力事業が医療機器で安定した成長が見込める業界だったにもかかわらず、自己判断で早期退職を決意し、調査不足の業界への転職してしまったことが後悔の原因になっています。
転職で年収は下がり、早期退職で600万円割増の退職金は3年で消えてしまいました。
水原さんのようにならないためにも、情報収集をしっかりしてから早期退職を見極める必要があります。
コツ3:早期退職後の収入源を確保する
コツ3つ目は、生活に困らないように早期退職後の収入源を確保することです。
退職後にどれくらい収入の確保が必要かを知るために、生活に必要な金額の把握と貯金の確認をしておかなければなりません。
安定した収入がなくなるため、貯金を切り崩して生活する場合は貯金が十分かどうか計算しましょう。


起業を考えた退職の場合は、「副業」などの経験を積んでおくと、資金繰りに悩まずに済むかもしれませんね。
コツ4:早期退職を決める前に家族や知人に相談しておく
家族に相談もなしに早期退職を決めてしまうのは厳禁です。早期退職を決める前に家族や知人に相談しておくことが、4つ目のコツになります。
結果的に早期退職が家族にもたらすメリットがあったとしても、信頼関係がゆらぐ原因になりかねないからです。
そして、退職してからの人脈作りは難しいため、仕事で関わってきた元同僚や取引先との人脈は大切にしましょう。
相談相手がいることで気持ちを落ち着かせることができ、転職に有益な情報が得られることもありますよ。
コツ5:転職エージェントを活用する
早期退職後に転職を考えているなら、転職エージェントを活用しましょう。
とくに40代や50代は、収入が落ちる転職は避けたいものです。
転職エージェントなら、これまでのキャリアを活かし年収ダウンのリスクを抑えた転職先を紹介してくれるでしょう。
おすすめ転職エージェント3社
- 求人数が多くキャリア面談の質が高い: リクルートエージェント
- 30代〜50代向けのミドル・ハイクラスの転職なら:
JACリクルートメント
- スカウトを受けて転職したいなら:
ビズリーチ
【早期退職での失敗】まとめ
早期退職で失敗しないために
- 退職金の割増に踊らされず、明確な目的を持って充分な準備をしてから決断しよう
- 早期退職の成功例や失敗例を知って、後悔のない判断をしよう
- 転職を視野に入れた早期退職なら、転職エージェントの利用がおすすめ
早期退職を決断するにあたって、生活資金の確保と退職後のプランが重要なカギを握っています。
退職金の割増をあてにして充分な情報収集をしないまま、目的なく退職してしまうと、早期退職したことを後悔することになりますよ。
最後にもう一度、失敗しないためのコツを確認しておきましょう。
早期退職で失敗しないための5つのコツ
- 早期退職後の目的を明確にする
- 充分に情報収集をする
- 早期退職後の収入源を確保する
- 早期退職を決める前に家族や知人に相談しておく
- 転職エージェントを活用する
早期退職後に納得のいく充実した生活が送れることを願っています。