この記事で解決できる悩み
- 失業保険をもらえる間は再就職しないほうがお得?
- 再就職手当の受給条件を知りたい
- 再就職手当の手続きってどうするの?
失業保険をもらいながら転職活動をしている時に、タイミングよく希望する求人に出会えたと想定してみてください。
あなたは失業保険を満額受け取らなければ損と、応募を見送りますか?
この記事では、失業保険受給中に再就職が決まった場合に支給される「再就職手当」について詳しく解説していきます。
【はじめに】再就職手当とは?
再就職手当とは、退職後の再就職を促すために設けられた制度です。
失業保険同様、雇用保険に加入して条件を満たさなければ受給できません。
再就職が早ければ早いほど、受給額も多くなりますよ。




もし失業保険の受給後に仕事に就けなければ、失業期間が長引いてしまいます。
いつ希望の条件の求人に巡り合えるかわからないため、失業保険を満額受給することにこだわると、チャンスを棒に振ってしまうかもしれません。
気になる再就職手当の受給条件や受給額については、のちほど順を追って説明していきますね。
再就職手当以外の失業時に受給できる給付手当
失業時に受給できる給付手当は、再就職手当だけではありません。
転職活動中の経済的支えになるため、再就職手当以外の3つの給付手当についても知っておきましょう。
再就職手当以外の失業時給付手当3つ
- 失業手当(失業保険)
- 就業手当
- 就業促進定着手当
給付手当1:失業手当(失業保険)
雇用保険に加入していれば、離職後に失業中の生活を心配せずに1日も早い再就職を応援する「基本手当」が受給できます。
一般的に失業手当や失業保険と呼ばれているものの正式名称が、この「基本手当」です。
会社の倒産や契約期間の満了などの会社都合の離職と、自己都合退職では、給付される日数に差が生じます。
さらに自己都合退職の場合は、7日間の待期期間の後さらに3ヶ月間の給付制限があるため、注意しましょう。

下記の記事で詳しく説明していますので、参考にしてくださいね。
給付手当2:就業手当
基本手当の受給資格があっても、再就職手当の支給とならないパートやアルバイトなどの非正規雇用への就業だった場合は、次の条件をすべて満たせば「就業手当」が受取れます。
就業手当の受給条件
- 就職日の前日で、基本手当の支給残日数が45日以上あり、また所定給付日数の3分の1以上ある場合
- 離職前に働いていた事業主(関連事業主を含む)に、再び雇用されたものでない場合
- 求職の申し込みをした日以前に、雇入れの約束を交わした事業主に雇用されたものでない場合
- 待期期間(7日間)が経過した後に職業に就いた場合、または事業を開始した場合
- 離職理由による給付制限期間中の方は、待期期間満了後1ヶ月の期間内については、公共職業安定所の紹介により職業に就いた場合
就業手当の支給額は、下記の計算式に当てはめて出します。
2020年6月現在の基本手当日額の上限は、1,831円(60歳以上65歳未満は、1,482円)です。
給付手当3:就業促進定着手当
再就職手当を受給していて、再就職先の半年間の給料が退職前の給料より低い場合に受給できるのが「就業促進定着手当」です。
就業促進定着手当を受取るためには、次の条件をすべて満たさなければなりません。
就業促進定着手当の受給条件
- 「再就職手当」の支給を受けていること
- 再就職の日から、同じ事業主に6か月以上、雇用保険の被保険者として雇用されていること
(起業により再就職手当を受給した場合には、就業促進定着手当の受給対象にはなりません。) - 所定の算出方法による再就職後6か月間の賃金の1日分の額が、離職前の賃金日額を下回ること
就業促進定着手当の支給額は、下記の計算式に当てはめて出します。
離職前賃金日額の上限額と下限額や支給額の上限額の計算方法、再就職後6ヶ月間の賃金の1日分の額の算出方法は、ハローワークの「就業促進定着手当」のページを参考にしてくださいね。
再就職手当で受給できる金額
失業保険受給中に気になる求人に出会えたとき、満額受給する前に再就職をし、再就職手当を受取るべきか悩むことがでてくるかもしれません。
再就職手当は、失業保険の支給残日数が少なくなれば、受給できる金額も減ります。

再就職手当の計算方法
それでは、再就職手当の計算方法を見ていきましょう。
「基本手当日額」は、離職した直前の6ヶ月に、毎月きまって支払われた賃金の合計を180で割った金額の、約50~80%(60歳~64歳については45~80%)になります。
下記のように基本手当日額は、年齢に応じて上限が定められています。
出典:ハローワーク インターネットサービス「基本手当について」
支給残日数によって給付率が異なります。
早く再就職できれば給付率が高くなる仕組みです。
・支給残日数が所定給付日数の3分の2以上の給付率・・・70%
・支給残日数が所定給付日数の3分の1以上の給付率・・・60%
就職日が平成29年1月1日前の場合の給付率は、それぞれ10%マイナスになります。
再就職手当の受給額の具体例
この見出しでは、雇用保険の日保険期間や退職理由によってどのように違いがあるのか、具体例を交えて解説していきます。
再就職手当の受給額の具体例
- 雇用保険の被保険期間9年で失業したAさん31歳の場合
- 雇用保険の被保険期間5年で、自己都合で退職したBさん25歳の場合
では、まず雇用保険の被保険期間9年で、会社都合により失業したAさん31歳の場合から見ていきましょう。
雇用保険の被保険期間9年で失業したAさん31歳の場合
大学卒業後に入社した会社が倒産し、雇用保険の被保険期間9年で失業したAさん31歳の場合を見てみましょう。
Aさんは、70日間失業保険を受給した後に再就職しました。

離職前6ヶ月の賃金合計は150万円だったため、基本手当日額は8,333円ですが、30歳以上45歳未満の基本手当日額の上限が7,570のため、基本手当日額は上限額になります。
雇用保険の被保険期間5年で、自己都合で退職したBさん25歳の場合
次に雇用保険の被保険期間5年で、自己都合で退職したBさん25歳の場合はどうでしょう。
Bさんは、20日後の給付制限期間に再就職手当の受給が確定しました。

離職前6ヶ月の賃金合計は120万円だったため、基本手当日額は6,666円で、30歳未満の上限金額の6,815円より少ないので、そのままになります。
これらは、再就職手当の計算例です。
給付日数の3分の1以上を残さないと受給することができないため、気を付けましょう。
再就職手当を受給できるタイミング
再就職手当の申請は、就職した日の翌日から1ヶ月以内と決まっています。
再就職が決まったらできるだけ早くハローワークに連絡し、内容に不備がないよう余裕をもって準備しましょう。
受給資格者証を添付して申請書類を提出した翌日から7日以内に、再就職手当が指定口座に振り込まれますよ。
再就職から1カ月以内の申請が難しい場合
1ヶ月以内に申請できない理由がある場合、手当がもらえないと落胆しないでください。
申請期限は原則1ヶ月以内と決まっていますが、申請期限を過ぎた場合でも2年の時効の期間内であれば申請が可能です。



申請期限については、ハローワークの「申請期限について」でも確認できますよ。
再就職手当の受給の条件
ここでは気になる再就職手当を受給するための条件を解説していきます。
下記のすべての条件を満たさなければ、再就職手当を受取れないので注意してください。
再就職手当の支給条件
- 失業保険の手続き後、7日間(待期期間)満了後に就職や事業を開始
- 就職日の前日までの失業保険の支給残日数が、3分の1以上あること
- 退職した会社や関連する会社への再就職ではないこと
- 給付制限がある場合(例:自己都合退職)、待期期間後の1ヶ月はハローワークか職業紹介事業者の紹介による就職であること
- 1年を超えて勤務することが決まっていること
- 雇用保険の被保険者であること
- 過去3年以内の就職で、再就職手当や常用就職支度手当を受給したことがないこと
- 受給資格が決定する前から採用が内定が決まっていないこと
この条件については、ハローワークの「再就職手当のご案内」でも確認できますよ。


再就職手当を受給されるまでの流れ
雇入年月日または事業開始年月日の翌日から1ヶ月以内に、再就職手当を申請する必要があります。
【手続きに必要なもの】
・再就職手当支給申請書
・受給資格者証
再就職手当支給申請書は、様式をサイトからダウンロードすることができます。
内容を入力して印刷することも可能ですよ。
再就職手当支給申請書は、本人が記入する欄と再就職先の事業所に記入してもらう欄があります。
支給条件に当てはまる内容でなければ、受給できないため注意してくださいね。
提出書類に不備が無ければ、1ヶ月程度で決定通知書が届きます。
支給が決定の場合は、1週間以内に指定の口座に再就職手当が振り込まれますよ。
失業保険の満額受給を待つよりも再就職手当を受けて早々に転職すべき
失業保険の受給資格決定日から待期期間の7日間以降、支給残日数が3分の1を切らなければ再就職手当を得て転職できます。
失業保険を満額受給することにこだわっていると、受給期間が終了しても仕事が見つからず転職活動が長引く恐れがあります。


このようなリスクを避けるためにも、再就職手当を転職活動の励みにしてはどうでしょうか。
転職エージェントを使って転職活動をしよう!
再就職を目指すには、ハローワークだけでなく転職エージェントを利用して転職活動をするのがおすすめです。
自己都合退職の場合、7日間の待期期間を経て、その後1ヶ月間はハローワークか職業紹介事業者で就職した場合、再就職手当の対象になるとさきほど解説しました。
転職エージェントは「職業紹介事業者」に該当します。
転職エージェントを使うことで、以下の3つのメリットがあります。
転職エージェント利用の3つのメリット
- 転職活動で必要な作業を代行してくれる
- 効率的に転職活動をするためのアドバイスを受けられる
- 採用されるためのノウハウを提供してもらい、転職の成功率を上げられる
転職エージェントを利用すると、さまざまな求人の中からあなたの希望に合ったものを選んで提案してくれるため、自分ひとりで転職活動を行うよりも効率的ですよ。
再就職手当に関するQ&A
ここでは再就職手当に関する疑問を解決していきましょう。
5つの質問とその回答を紹介します。
再就職手当に関するQ&A5つ
- Q1:ハローワークから紹介の企業でなくても受給されるの?
- Q2:試用期間でも再就職手当はもらえるの?
- Q3:派遣社員やアルバイト・パートでも再就職手当は受給されるの?
- Q4:フリーランス(個人事業主)でも再就職手当は受給されるの?
- Q5:再就職手当の申請中に仕事を辞めたらどうすればいい?
Q1:ハローワークから紹介の企業でなくても受給されるの?
基本的には失業保険の受給資格決定日から7日間の待期期間を過ぎれば、求人サイトや知人の紹介等で就職した場合でも再就職手当の受給対象となります。
ただ注意しなければならないのは、自己都合などの退職理由で給付制限がある方です。
給付制限がある場合、待期期間の7日間の後1ヶ月間は、ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介で就職しなければ支給の対象となりません。
ハローワークだけというわけではないので、転職エージェントなどを利用し積極的に転職活動を進めましょう。
Q2:試用期間でも再就職手当はもらえるの?
採用された会社に試用期間があり、その後1年を超える雇用と、雇用保険の加入が決まっていれば、再就職手当の支給対象になります。
Q3:派遣社員やアルバイト・パートでも再就職手当は受給されるの?
まず派遣社員に関してですが、派遣先の変更ではなく、派遣会社を退職したのであれば、再就職手当受給対象となります。

詳しくは、「給付手当2:就業手当」を参照してください。
Q4:フリーランス(個人事業主)でも再就職手当は受給されるの?
フリーランス(個人事業主)が事業を開始した場合も再就職手当の受給対象です。
自己都合退職等で給付制限があれば、待期期間の後1ヶ月の期間を経過しなければ対象とならないことに注意してくださいね。
Q5:再就職手当の申請中に仕事を辞めたらどうすればいい?
雇用保険の受給期間は、退職した日の翌日から1年間が原則ですが、その間に病気やケガなどの理由で30日以上は働けなかった場合、その働くことができなくなった日数だけ最長3年間延長することができます。
延長後の受給期間の最後の日までの間の申請で大丈夫ですが、早期に申請することが望ましいです。
なお、再就職手当受給後に再び退職した場合でも、受給期間が延長される場合があるため、ハローワークに問い合わせましょう。
再就職手当のまとめ
早期に再就職することで、再就職手当が受給できて賃金も得られるため、収入への不安はなくなります。
失業保険を満額受け取ってからすぐに再就職できる保証はないため、再就職手当の受給資格があるのなら、給付率の高い早期の転職がおすすめです。
転職のチャンスはいつ訪れるかわかりません。
失業保険を受給中でもチャンスがあれば、再就職に向けて積極的に取り組んで再就職手当を手にしましょう。
再就職手当のまとめ
- 早期の再就職なら再就職手当の給付率が高くなる
- 自己都合などで給付制限がある場合、待期期間後の1ヶ月間はハローワークか職業紹介事業者の紹介で就職しなければ、再就職手当の受給対象にならない
- 早期の再就職を目指すなら、転職エージェントの利用がおすすめ